プロジェクトからプロダクトへ:デジタルとブランディングの制作で学んだこと
- 2026年2月12日
- Anna


Anna
戦略&クリエイティブディレクション
役割
戦略&クリエイティブディレクション
専門領域
ブランド戦略、ビジュアルアイデンティティ、UX/UIデザイン、デジタルブランドシステム
背景
写実的な絵画、実験的な写真、ブランド・デジタルデザイン
視点
ロンドンのギャラリー、カフェ、ショーウィンドウ、多様なクリエイティブ文化に育まれた視点
進め方
細部への鋭い目を持つ、精密でコンセプトに基づくアプローチ
想定をすべて検証できるのは、実際の利用だけ
これまでのプロジェクトを振り返ると、繰り返し浮かぶ瞬間があります。すべてが「公開」される日です。
計画上は、それが目標です。でも実際には、想定が正しかったかを初めて確認できる瞬間に近いものです。そこで視点が変わります。引き渡すプロジェクトから、関係を続けるプロダクトへ。
私たちは早い段階で、サイトやアプリを完成した制作物として扱うことの負担を学びました。機能だけでなく、見つけてもらえること、コンバージョン、信頼、ブランドへの愛着といった成果にも関わります。多くのデジタルの取り組みが長期的にはうまくいかないのは、単なる感覚ではありません。ある分析では約70 %とされ、プロジェクトとしての考え方が強く、継続的な進化が起きないことがよくある理由です。Technology.org
最初の「秘訣」は、ありふれているようで、実践するのは簡単ではありません。公開を終止符ではなく、学びのリズムの始まりとして計画します。
実務では、公開前からその後を明確にします。誰が数字を見るのか。誰がフィードバックを集めるのか。誰が優先順位を決めるのか。そして、機能しているとどう判断するのか。
社内では、これを「North Star Check」と呼んでいます。実装前に、実際の価値が生まれていることを示す、わかりやすい指標を一つ定めます。「機能Xが完成した」ではなく、「問い合わせが増えた」「応募内容が充実した」「コンテンツを早く見つけられる」といったものです。成果に基づくこの考え方が、全体を変える小さな支点になります。
さらに、これを明確で安定した周期につなげます。常に慌ただしく動いたり、細部を調整し続けたりするのではありません。測定、理解、判断、実装のための時間を定め、その後にまた観察します。「新しいサイトができた」が、少しずつ「成果を生むデジタルプロダクトがある」に変わります。
今デジタルの取り組みを始めるなら、一つ尋ねてみてください。公開から90日後、何が測定できる形で良くなっているべきでしょうか?答えがなければ、計画しているのはプロダクトではなく、プロジェクトである可能性が高いです。

プロダクトが、ブランドの約束を果たす
プロジェクトでよく見る誤解があります。ブランディングは「外側」、デジタルプロダクトは「機能」という考え方です。実際の利用では、切り離せません。
ブランドは約束です。ウェブサイトやアプリは、その約束が試される瞬間です。売り込みの言葉がなくても、静かに、しばしば数秒で判断されます。
この関係が特に明確だったのがBlueforteです。求められたのは新しい見た目だけでなく、明確な姿勢でした。複雑なデータとAIのテーマを、人が理解し、真剣に受け止められる形で伝えることです。こうした状況では、サイトを一度きりのプロジェクトとして納品すると、すぐに動きが止まります。一方、専門的な発信には、新しいコンテンツ、事例、視点という動きが必要です。
本当の判断は「どの色にするか」ではなく、サイトを、継続的なコミュニケーションのプロダクトにするにはどうするか。ということでした。技術面では、チームが日常業務で使える構成、例えばヘッドレスCMSを用意します。編集面では、毎回つくり直さなくてよいようにコンテンツを構造化します。
ここでの二つ目の「秘訣」は、ブランディングとプロダクトの両方で役立った具体的な方法です。Touchpoint threadと呼んでいます。
ユーザーが実際に体験するすべての接点を、一本の糸でつなぐように整理します。ホームページ、サービスページ、事例、お問い合わせ、ニュースレター、SNS投稿、PDF。そのうえで、語り口は同じか、印象は同じか、細部まで判断が一貫しているかを確認します。
マイクロコピーも対象です。一つのボタンの文言も、「冷静な助言」にも「親しみやすい支援」にもなります。その細かな違いがブランドであり、プロダクトでもあります。
デザイン文化の影響を見ると、その重要性がわかります。デザインを重視する企業は、長期にわたりS&P 500を大きく上回りました。Design Management Institute via Medium
これを「デザインが増えれば利益も増える」という単純な公式にはしません。ただ、ブランドとプロダクトが同じ言語を話すと、摩擦が減るという確かな観察があります。人は早く理解し、より信頼し、長く関わります。
もう一つ、Polaらしい、見落とされがちな点があります。アクセシビリティとブランドの印象はつながっています。適切なコントラスト、明確な文字組み、整った階層は、WCAGの課題であるだけでなく、ブランドの品質でもあります。明確さは能力を感じさせ、使えることは敬意を感じさせます。
ブランディングを計画するなら、「どう見えるか」だけでなく、使ったときにどう感じるか、そして半年後もそう感じられるかを考えてみてください。

長い機能一覧より、明確な価値
クライアントにも私たちにも、ほぼいつも感じる誘惑があります。時間と予算を投じるのなら、最後には「たくさん入っている」べきだ、というものです。
もっともらしく聞こえます。でも、それが負担の始まりになることは少なくありません。
デジタルプロダクトには、不都合な事実があります。つくったものの多くが、後でほとんど使われません。分析によって、機能の64〜80 %が、ほとんど使われないか、まったく使われないとされています。Roikonen (2025)
ここから、実用的な教訓を得ました。決め手は機能の量ではなく、明確さです。
軽く、遊び心のある学習プラットフォームとして意図的に設計したUrekaでは、まさにこれが中心的な課題でした。コンテンツと機能は、いくらでも増やせました。初期段階では、「すべて揃えること」がUXの目標をどれほど速く損なうかがわかります。
そこで三つ目の「秘訣」として、今では一貫して使っている方法が、Core‑Value Cutです。
「あったらよいか」ではなく、「本当にユーザーを前へ進めるか」を基準に削ります。
方法はシンプルですが、有効です。
1)機能ごとに仮説を立てます。ユーザーにどのような変化が起きるべきでしょうか。
2)分析やテストで、その変化をどう観察するかを決めます。
3)学びを得られる最小限のバージョンをつくります。
4)価値がなければ、ためらわずに削ります。
厳しく聞こえますが、予算と時間にも公平な方法です。プロダクトの世界の具体例として、あるチームは、予定していたダッシュボードの47指標を、実際に使われる少数へ減らしました。結果は、開発を3週間短縮、約€42,000の削減、ベータテストでの利用が40 %増加でした。Metapress
好きなのは、「面倒だから減らす」のではなく、「真剣に考えるから減らす」というところです。
エージェンシーの文章ではあまり見かけませんが、社会的な目的を持つ組織に特に重要な点もあります。機能が少ない方が、持続可能なことはよくあります。複雑さが減ると、データ量、保守、エネルギー消費も減ります。デジタルのサステナビリティは、ホスティングだけでなく、意思決定の文化でもあります。
バックログを増やしているなら、逆に尋ねてみてください。三つだけを、本当にうまくできるとしたら?そこで、プロダクトの本質と、単なるプロジェクトの飾りだったものが見えてくることがよくあります。

よくある質問
成功を主に期限、対象範囲、検収で定義するなら、プロジェクトの考え方に近いです。プロダクトの考え方では、成果で成功を定義します。ユーザーにとって何が良くなり、事業に何が変わり、何が長期的に使えるままでしょうか。
「公開から30日、90日、180日後に何が起きるか」が良い確認になります。チーム、予算、測定のポイントに明確な答えがなければ、「プロダクト」と呼んでも、プロジェクトのままになる可能性が高いです。
必ずしも必要ではありません。ただし、明確な責任者は必要です。責任者のいないプロダクトは、すぐに作業一覧になってしまいます。
チーム全体をつくれない、またはつくりたくない場合は、中核となる体制で十分なことがあります。優先順位を決める人と、確かなデザイン・開発の対応力を、社内か社外に用意します。重要なのは継続性です。プロダクトを「渡して終わり」にせず、継続して支えます。
「アイデアを集めること」と「アイデアを実装すること」を明確に分けます。プロダクトの視点では、アイデアの幅は広くても、実装の判断は厳密です。
すべてのアイデアを仮説にし、指標を決めることが役立ちます。機能の64〜80 %がほとんど使われないのは、創造性の不足ではなく、検証の不足を示しています。Roikonen (2025)
イノベーションは、量ではなく、明確な学習サイクルから生まれます。
ブランディングは飾りではなく、方向を示すものです。何を大切にするのか、信頼できるのか、自分に合っているのかを、ユーザーが素早く理解するのを助けます。
デジタルプロダクトでは、語り口、構造、視覚的な明確さに加え、エラーメッセージ、導入時の説明、フォームといった小さな判断にも表れます。揃っていないと違和感が生まれ、信頼を失います。
まず、本当に重要なNorth Star指標を一つ定め、追加は後で行うのが好きです。プロダクトによって、質の高いお問い合わせ、登録の完了、継続利用、応募の質など、対象は変わります。
重要なのは、「10ページつくった」という制作量ではなく、「より多くの人が見つけ、理解し、適切に行動した」という成果です。さらに深く調べる際は、MatomoやGoogle Analyticsが役立ちます。ただし、問いが明確になってから使います。
私たちにとっては、品質の一部です。軽量で速く、アクセシブルなソリューションは、データ、計算、保守が少なく、持続可能であることもよくあります。
2025年以降、期待も変わっています。多くの領域では、アクセシビリティは単なる好ましい要素ではなく、法的、社会的に求められています。European Accessibility Actがその例です。公開後にアクセシビリティとエネルギー効率を付け加えるだけでは、費用と変更の影響が増えます。プロダクトの視点では、責任を早くから組み込みます。

公開を、学び続けるプロダクトのプロセスに変えませんか?
ブランド、プロダクト、コミュニケーションが今どのようにつながっているかをお見せください。方向性や一貫性が不足する部分を可視化し、次の判断に向けた明確な枠組みを定めます。